公開:2025年7月18日
弁理士・中川 真人

どこまでが共同発明者?

俺も発明者に入れてくれと言われたら


発明の完成者は特許権者になる立場にある人ということですが、「なぜこの人まで発明の完成者として名前を入れなければならないのか?」と疑問に思うこともあるでしょう。これは、先の「大学で完成した発明は全て職務発明である」という疑問とともに大いに現場の研究者の頭を悩ませている問題です。

原則として、複数人で完成させた発明を共同発明と言い、共同発明者全員が連名で特許権者となるというのが特許法の作りです。しかし、発明者といえるには、ある共通の課題の解決に対して具体的な技術的な思想を創作していなければいけません。解決しようとしている課題とは直接関係のない一般的なアドバイスや、計算の代行や検算、ましてや資金を提供しただけのような人が、共同発明者となることは絶対にありません。

問題なのは、共同発明者は実質的に発明の完成に具体的な関与をした人でなくても、特許出願をする人の裁量で自由に名前を連ねてよいとされている点です。要は、共同発明者として法定されている人を発明者として記載しなかったことは法律上問題になっても、共同発明者として法定されていない人を共同発明者として記載して特許出願をすることは、何ら問題ないのです。

ファーストコンタクト
大学の対応に疑問がある先生はこちらのフォームからご相談ください