開設:2024年12月13日
公開:2025年05月15日
弁理士 中川 真人

機能のブランド化の成功例「テブラコードるす」

 機能のブランド化の成功例「テブラコードるす」


機能や特徴でブランド化を図る格好の成功例に、三洋電機株式会社の家庭用電話機「テブラコードるす」があります。テブラコードるすは、ハンズフリー機能を搭載した家庭用留守番電話機ですが、なぜ数あるハンズフリー電話機の中で、「テブラコードるす」が一人勝ちをしたのか、詳しく見ていきましょう。

機能の視覚化と印象・記憶・連想

消費者が「テブラコードるす下さい」と指名ができる購入動線

「テブラコードるす」は、三洋電機株式会社が自社の販売する家庭用電話機に使用をする商品名で、このような商品名のことを商標と言います。商標は、「家庭用電話機について三洋電機株式会社が自社の販売する商品に使用をする名称である」という登録を国に対して行うことができ、これを商標登録と言います。商標登録は特許庁に行います。

そして、商標の名付け方法には「テブラコードるす」のように、「手ぶらで通話ができる、コードレス電話機で、留守番電話機能がついてる」という、その機能や特徴を連想させる命名法があります。そして、「テブラコードるす」と言えば「ハンズフリー機能を搭載した家庭用留守番電話機」としての知名度を獲得し、消費者の記憶に強く印象付けることで、家電量販店を訪れた際に、直接「テブラコードるすをください」というご指名の注文ができるようになります。

ここで、テブラコードるすは三洋電機の特定の家庭用電話機のみを指し示しますから、同じ機能・特徴を搭載した競合製品を差し置いて、店としては「テブラコードるす」を販売しなければならなくなります。つまり、三洋電機はハンズフリー機能というスペックによる差別化を図ったのではなく、「テブラコードるす」という商標でその機能を連想させ、消費者の記憶に強く印象づけを行い、「ハンズフリー機能がある電話機」という製品ジャンルではなく、最初から消費者が「テブラコードるすを下さい」という、商品名で自社の機種を特定した購入ができるよう、適切な動線を敷いておいたのです。

機能の視覚化と印象・記憶・連想

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