開設:2024年12月13日
公開:2025年04月24日
弁理士 中川 真人

商標権が侵害されたらいくら取れるか?

 商標権が侵害されたらいくら取れるか?


貴社の登録商標が侵害されていることを発見したとき、いったいいくら損害賠償を取れるのでしょうか。商標権の侵害額は、侵害されたからという理由だけで認められるものではありません。詳しく見ていきましょう。

差止請求と損害賠償請求

似ているだけでは損害賠償を請求できない

商標権の侵害が起きた場合、裁判所に差止請求訴訟と損害賠償請求訴訟の2つを請求することができます。差止請求訴訟というのは「使用行為をやめろ」という判決を得るための訴訟で、損害賠償請求訴訟というのは「商標権者に与えた損害額を支払え」という判決を得るための訴訟です。一般に、貴社の登録商標と同一または似ている商標を、貴社の商標権の指定商品・指定役務の範囲内で使用をしている人に対しては、差止請求訴訟をすることができます。この場合、侵害品やその物が売られている現場、広告類といった証拠を集めておく必要があります。

次に、損害賠償請求訴訟ですが、損害賠償請求をするには「侵害者のせいでこれだけの利益が失われた」という、会計的な証拠を用意する必要があります。ということは、理屈の上では仮に貴社の登録商標を無断で使用されても貴社に損害がないのであれば、損害賠償請求をすることはできないということになります。会計的な証拠は、収集や特定が非常に難しいので、専門の弁護士の先生の協力なしにはできません。

一方、特許権や意匠権では事業に使用しただけでも損害賠償の対象になり得ます。この差は何かというと、特許権や意匠権は技術的・視覚的な創作性そのものに価値を認めているのに対し、商標法はそのような創作的価値を一切認めていない点にあります。商標権の価値は、現に使用していて、かつ有名になっていないとなかなか認められないので、注意が必要です。

差止請求と損害賠償請求

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